吹奏楽・アンサンブル出版楽譜の浄書の現状について思うこと
最近、吹奏楽・アンサンブルの楽譜出版社が立て続けに設立していますが、楽譜出版をする上で欠かせない工程である浄書を行う浄書家・楽譜編集者がその数に見合っていないような気がします…
五線は細くて間隔が広く、バランスが取れておらず、記号がぶつかっている事も…こんな楽譜に出会ったことはありませんか?
最近の風潮として『とりあえず早くたくさん楽譜を世に送り出す』みたいなものを感じています。
私は優れた内容であることはもちろん、かつ美しい譜面を世に送り出す事が大切だと思います。
美しい譜面から美しい音楽が生まれると思うし、楽譜は残るわけだし…私はYMDミュージックを経営していますが、YMDミュージックに於いて出版物の校正編集をおろそかにする考えはありません。
浄書が出来るようになるのはとても大変です。
作編曲家に求められるのと同等の音楽理論・楽器法の知識に加えて様々な楽譜の書法に関する知識や美しい楽譜に見せる技、楽譜作成ソフトとパソコンを使いこなすスキル、そしてセンスが必要です。
最近はほとんどの作編曲家が楽譜作成ソフトを使って楽譜を作っていると思いますが、楽譜作成ソフトが使えるから浄書が出来る…には必ずしもならないです。
今は浄書という工程が軽率視されている気がします…
私は、浄書家・楽譜編集者は優れた作品を作った作編曲家、それを演奏する演奏家の間に立つ、作編曲家と演奏家を繋ぐ大切な役割を担っていると考えます。
YMDミュージックで浄書にこだわった楽譜を出版する事を1年続けた結果、浄書に関する評価を得る事が出来、YMDミュージックの個性として確立しつつあります。が、今のままでは出版ペースが遅いまま、経営者として雇用環境を整えて浄書家増員に努めます…
浄書には先に述べたとおり多くの専門的知識が必要ですが、浄書を学べる学校や教室、教材はほとんどありません…
浄書家として企業に就職する際、ゼロから浄書を教えるのは企業にとって負担になるので、同業他社も浄書に関する知識を学校や独自に学んだ人材を求めていると思います。
私は浄書家にもっとスポットが当たって良いと考え、YMDミュージック出版楽譜奥付には浄書者を明記しています。今の自分に出来る事はYMDミュージック出版楽譜を通じて、または私自身から浄書の魅力を発信し、浄書を仕事にしたいと思ってもらえるように努める事と自負しています。