作編曲家 山田悠人 公式Webサイト

【コラム・浄書】タイの向きについて

楽譜の清書にあたる浄書では、様々な観点から見やすく使いやすい楽譜になるように考えています。

今回は演奏記号のひとつであり、よく見かけるであろう「タイ」について、小ネタを紹介します。

タイとは、同じ音程(音の高さ)の2つ以上の音符を切れ目なく(つなげて)演奏することを表す記号です。タイは2種類の向きがあり、上向きに弧を描くタイ、その逆の下向きがあります。
連続した2音の符尾(4分音符より音価が短い音符につく”ぼう”)が両方共上向きならタイは下向き、その逆の場合もあります。では、連続した符尾の向きが異なる2音のタイについてはどうなるでしょうか。結果は上向きが良いみたいです。少なくともヘンレ社やベーレンライター社の楽譜はそのようになっていました。また、向きを定義した浄書の本もありました。私もそのように記された書籍を持っていました。
(譜例1,2: ドヴォルザーク《弦楽四重奏曲第12番ヘ長調》第1楽章 1st Violinパート)

しかし、8分音符の符尾との重なり(譜例3)は気になりますよね。このタイの向きについて、明確に決められてはいないので、結局は流派や浄書家さんの考えや方針によると思います。

普段何気なく手に取る楽譜は、皆様の手に取るまでに様々な過程を経て届きます。その中には、このような些細なことも考えられることもあります。皆様も是非、楽譜の書き方についてもご興味ご関心を持っていただければと思います。