作曲家 山田悠人 公式Webサイト

フレックス(フレキシブル)編成について考える

作編曲をしながら思ったことを綴りたいと思います。
僕個人の考えであって、必ずも正しい答えではなく、一概に言えない事をご承知の上で読んで頂ければと思います。

吹奏楽界において近年急速にフレックス(フレキシブル)編成の作品数が増えています。
フレックス編成とは、メンバーの編成に応じて任意の楽器を選択して演奏することが可能な編成のことです。

僕がフレックス編成の事を知った時、まず「音楽作品を作る上で大切な”要素”のひとつである編成の束縛が出来ないことで作品が成り立つのか?」と衝撃を受けたことを覚えています。
僕が作編曲をする際、「(作編曲作品の)編成を活かすことが出来ているか」を気をつけています。
編成という要素は芸術を追求する上で欠かせないと考えているからです。
現代音楽に於いて、”管理された偶然性”という言葉がありますが、編成の束縛を緩めるだけで偶然性から生まれる音楽を追求していると言えないかと思っています。
フレックス編成に於いて、作編曲者が全ての組み合わせの音色を想像、確認することは無理に近いですし、僕が以前フレックス編成を書いた際も各楽器の楽器法に無理がないかを考慮することで手一杯でした。
少なくとも、僕はフレックス編成で作品の芸術を追求するのには限界がある、演奏者に委ねる点や負担が大きくなると考えています。

しかし、編成の束縛がないということを良い事に捉えることも出来ます。
楽器指定の束縛があるために一緒に音楽がしたい人と演奏が出来ない、という事が無くなります。
僕の経験上、部内コンサートと言った仲間と楽しむ場で使える作品になると思います。
また、演奏依頼が編成のことを考慮せずに来ることもあり、そのような機会に役に立つともアドバイスをもらいました。
他にも、一般的な固定編成で演奏者を揃えることが困難な際は使いやすい編成だと思います。

以上より、フレックス編成に於いて
・原曲に忠実な、尊重した編曲や芸術を追求する事は難しく、全ての楽器のことを考慮し、作編曲時にリズム、調性等の要素である程度妥協しなければならない。
・コンクール等、音楽作品や演奏技術を競う場面に於いては固定編成の作品より作品の芸術追求度が劣ると考えられ向かない。
と考えています。

逆に、
1,楽譜の指定された楽器編成に合わせることが出来ない、つまり、演奏者に楽器編成を合わせなければならない演奏機会
2,担当楽器を気にせず、楽譜指定の編成にとらわれずにアンサンブルを楽しみたい時
に活躍し、柔軟な編成が校歌を発揮するのかと思っています。

フレックス編成に於いては芸術を追求する事よりも作品が使われるシーンを考慮する方に重点を置いた方が良いと考えています。

という訳で、YMDミュージック結婚式特集が1,に重点を置いた企画だったので、最近は2,に重点を置いたスタジオジブリシリーズフレックス4重奏作品を作っています。
ジブリ作品ってすごいですね、『サクソフォーン4重奏以外の編成でも編曲して欲しい、私(サクソフォーン奏者でない人)が演奏できない!』、アマチュア奏者の方から『友達と気軽に楽しめるよう、難易度が低いフレックス編成だと嬉しい』とジブリ作品を演奏したいとご意見を頂き、それらをまとめたものにしようと誠心誠意編曲中です。
サクソフォーン4重奏編曲版と構成が似ていますが、フレックス編成に編曲することを想定していなかったし、難易度を高めに設定して編曲していたのでフレックス編成を活かす編曲にする事に苦戦しています。

今回のフレックス作品は
・楽器を気にせず仲間と楽しみたい時
・営業演奏等、皆が知っている作品の演奏を求められる時
・ジブリ作品を管弦楽器で演奏したい時
にオススメできるかと思っています。

完成を今しばらくお待ち下さいね!